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カメラを持って"世界"を歩こう。

[あなでじ写真記]

毎週だいたい金曜日に更新するblog。

2025/12/12

フィルムカメラで撮る晩秋の熊野 | PENTAX67

前回のお話

 前回はデジタルカメラのD780で撮った熊野小旅のレポートだったが、熊野にはPENTAX67も持っていっていたのでそれについて紹介したいと思う。

 前回も同じテーマなので旅程に関する内容は割愛する。熊野小旅最初の目的地は熊野本宮大社。本宮のあたりに来ることはこれまで何度もあったが、ここまで霧が出ていたのは初めてだった。

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 大鳥居もぼんやりとおぼろげに浮かんでいた。色の調子などはよかったのだが、傷が付いてしまっていたのが少し残念。

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 鳥居を潜って大斎原へ。かなり早い時間だったが、それでも参拝客は多く途切れることはない。まっすぐに育った杉の間の細くスリット状になった白い空間から人が現れては消えていき白昼夢のような感覚だ。

 通路を奥まで進むと右側に旧社地が見え、左側に川へ下りる通路が続く。河原はさらに霧が濃く、10m先も見えないくらいに立ち込めていた。川の流れは穏やかで音を立てずに静かに流れ、私が歩いた石の音だけが聞こえる。石を見たら積み上げたくなるのだろう。始めは少しだけだった石の塔が、歩みを進めると一気に増殖する。墓標のように乱立し、遠くに乳白色の河が流れている。無数の石に覆われた河原は極楽浄土なのか、草も生えぬ三途の川なのだろうか。ぎょっとして写真に残すのは止めておいた。

 もう少し進むと不気味な石塔はなくなり、だだっ広い河原がひたすら続く。霧は少し薄くなり、遠くを見通せるようになった。川は大きく屈曲している。

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 後ろを振り返ると対岸の山は霧に隠され北海道のような景色になっていた。

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 この67は少し調子が悪くて全く感光していないコマができるときがある。毎回ミラーアップの音はするのに写っていない。なぜだろうかと考えていると、フィルムカメラのシャッターはある程度のシャッター速度を超えると完全にシャッターが開くのではなく、スリット露光になる。先幕が先に動いて、後幕が追いかける。その隙間の大きさの違いがシャッター速度の違いになる。スマホのハイスピードモードで動画を撮ってみると、あまり当てにはならないがスリットができているようには見えなかった。先幕が後幕に追いつかれてスリットができていないのだろう。できるだけ絞りを絞ってシャッタースピードを抑えてみると今回は全コマしっかり写っていた。やはりシャッター幕の問題らしい。当分はこのまま使っておいて余裕ができたらこのカメラもオーバーホールに出そうと思う。

 結局大斎原だけで9回もシャッターを切ってしまい残りは1枚だけ。いっそのこともう1本フィルムを卸そうかと思ったが、さすがに費用が嵩むので止めておいた。67は重いので一度車に置いてサクッと本宮大社に参拝し、七里御浜まで移動することにした。

 本宮大社からは五條から下ってきたように引き続き熊野川が削った崖の上を走る。もう季節は冬だったが熊野川は青い。太陽光が潤沢に降り注ぐ盛夏の熊野川はとにかく青く、むちゃくちゃにレタッチされたモネの池にも匹敵する青さがある。一度立ち止まって写真を撮りたいが、川が見えるのは歩道のない国道からで、いつも私は運転席に座っているのでなかなか叶わない。

 ほどなくして七里御浜に到着。南側は砂利浜になっていて、北に行くほど粒径が小さくなって北端はほとんど砂浜になる。最後の1枚は獅子岩の辺りから海を撮ることにした。日本海よりも太平洋はさらに広いので波の波長は長く、押し押せる感覚は長い。熊野川が潤沢に土砂を供給するので砂浜の傾斜は小さく、長い距離を波が走る。

 冬の太平洋熊野灘はおだやかな波が優しく打ち寄せていた。

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 これで今回の写真はおしまい。これまでPENTAX67は奈良公園でしか使えておらず、ようやく本格的に持ち出すことができた。まだまだ機械としての精度に不安は残るものの、一応使える状態であることは確認できた。おそらく長い間使われていなかったことで不調になっていると思われるので、ある程度は空シャッターを切り続けて機能の維持と回復に努めたいところである。今回はここまで。最近は日本海に行きがちであるものの、やはり太平洋も素晴らしい。また機会をみて来ようと思う。それでは今週も皆様にとって良き週末となりますように。

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