[アナデジ写真記]
毎週だいたい金曜日に更新するblog。
2025/6/13
PENTAX17を持って1日で白馬まで弾丸鉄道移動
プライベートではなく白馬まで行く用事ができた。本当は早朝に車で行って用事を済ませ、次の日はゆっくりしてから家に帰りたい所だったが、スケジュールでそれは必ず1日で大阪と白馬を往復することになってしまった。車で往復することも考えたが距離が長いと事故などで高速が通行止めになることも多く、安全を取って公共交通で向かうことにした。ほぼ始発で新大阪へ向かい、名古屋まで新幹線で名古屋から塩尻まで特急「しなの号」で、残りを「あずさ号」で白馬へ向かった。
鉄道での長距離移動は慣れない上に一つでも間違えると用事をこなせない上に、帰りは家に到達できないという綱渡りのような移動で乗り換えは毎度ハラハラしてしまった。今回はお楽しみゼロの真面目な旅だが、全く何もなく行くのも悔しくてPENTAX17だけ持って行くことにした。薄い上にレンズの出っ張りもないので物で詰まったビジネスバッグにもすんなりと入ってくれた。
フィルムはILFORDのHP5+。今回は増感せずにそのままのEI400で撮影。ただRodinalで現像すると感度が出ないのでEI200で撮影するべきだったものの、すっかり忘れていて少し薄いネガになってしまった。ID-11が買えなかったのでRodinalを試してみたが、ID-11に戻すかどうかで悩み中である。
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さて、写真は新大阪から。新幹線の発車標を見たのは久しぶり。LEDなので写りに怪しさがあるが、それなりにSSは遅かったようで十分に読める。駅の端にあるホームに上がり乗車予定ののぞみ号を待つ。ホームには先発のひかりが停車していたため私が乗る新幹線を待つ客が少なく、列の先頭で乗り込めた。座席は指定していないのでいい席は期待していなかったが新大阪始発のようで一番後ろの席を確保した。
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滑らかに加速して途中の京都に止まり、名古屋へは1時間ほどで到着。速い。速すぎて名古屋へ着いた感覚が全くない。
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中間改札をくぐって在来線ホームへ。乗車予定のしなのは既にホームにいた。かなり年季の入ったステンレス製の車両で天井は低い。中央本線のトンネルは口径が小さいらしく大型化できないようだ。独特の鈍い輝きを持っており、生活圏を脱したという感覚を得た。
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今回の移動で楽しみだったのは新幹線ではなく在来線の特急。しなのと後で乗るあずさは座席を窓側に指定しておいた。座席は案外座り心地が良く、長旅への不安はほとんどなかった。
しばらくして列車は緩やかにレールを滑り出して安心感のある加速感で名古屋の街を横切る。一度南下した後で大きく左へ旋回し、市街では何度か客を拾って庄内川が作った渓谷の開口部を目指す。小ぶりな渓谷をトンネルで進み、気付けば多治見。多治見を出れば恵那、中津川と止まり落合川でようやく木曽川の横を走るようになった。
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ウトウトしながら車窓を眺めていると名古屋ではそれなりの天気だったが、木曽谷へ分け入ると徐々に雲が低くなってきた。
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そして木曽谷での最大の車窓である寝覚めの床が近づいてきた。見逃すまいと窓に張り付いてカメラを構えていると見えた。まるで巨人がサイコロを積み上げたような岩の河岸が。
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深い割れ目のようなところを木曽川が流れ、両岸の岩はどれも四角。岩質は花崗岩のようで冷え固まるときに四角いヒビ割れが形成され、川の侵食作用でぽろぽろと周りが取れてこのようになったようである。
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その後列車は木曽福島に停車し、引き続き谷を遡上する。そして鳥居峠をトンネルで越えて信濃川流域に入る。木曽川と信濃川。まさに日本を代表する川の分水嶺である。
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しなの号は塩尻で下車し、次はあずさ号に乗り継ぐ。少し時間があるので駅を散策。塩尻はワインが名産のようで至る所にワイン樽が置かれていた。また、ホームの端にはブドウ棚も作られており特徴的な駅だった。
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JR東海に引き続きJR東も特急に乗車するのは初めて。関西人には見慣れないE353がやってきた。座席は十分に広くて座り心地も良かった。松本へはすぐに着いてしまい、車掌は交代。発車後、奈良井川、梓川を渡り千国街道に沿って北上する。
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塩尻では何も感じなかった山は次第にその重量感を増していき、穂高を過ぎる頃にはその白い山頂が雲の隙間から顔を覗かせるようになった。
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線形の割に列車はゆっくりと進み、仁科三湖を左に見つつ佐野峠を越える。ここからは姫川水系に入り白馬村になる。幸運なことに雨予報にも関わらず雲は薄くて降りそうにない。山頂付近の雲も薄く、しばらくすれば見えるかもしれない。予定の時間よりも無理して1本早い電車で来ていたので歩いて向かう。
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梅雨も入っていない白馬の山々はまだ十分に白かった。曇りがちですっきりはしないが、そんな日は白黒フィルムとの相性が良い。
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川沿いを歩けば大量の雪解け水が流れこの時期の関西にはない水量だった。
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しばらく歩くと徐々に山頂の雲は散っていって山頂を拝むことができた。一昨年、一昨々年と合わせて8日間白馬に滞在したが、一度も姿を見せず実に3年ぶりだ。
打ち合わせが終わり、帰りは電車まで時間があまりないのでお言葉に甘えて駅まで送っていただいた。帰りの電車までは少しだけ余裕があったので駅前でコーヒーをいただく。客は多国籍だが、閑散期の白馬だと日本人が多かった。ハイシーズンの白馬はもちろん素晴らしいが、閑散期は閑散期で元々の農村としての白馬を感じられる。
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一服して店を出ると山は分厚い雲で覆われ、もう山頂が見えるかという希望は全くない。山の天気は気まぐれで、まさに運そのものだ。
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改札を通って帰りの電車を待つ。帰りは松本まで鈍行で往路よりも2時間余分に時間がかかるようだ。元々帰りは新幹線を使わずに近鉄で帰るつもりだったのだが、乗り換え案内でも近鉄が案内されていたのでこれが最速だったのかもしれない。時間が違うので比較はできないが、大都市からは5時間半、地方からは7時間半。ともあれ用事は済んだのでゆっくりと帰るのでも良かろう。
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1時間半かけて松本まで移動し、松本から名古屋行きの「しなの」に乗車。名古屋駅のホームにある立ち食いのきしめんを食べて近鉄名古屋へ移動。お菓子やらを買って「ひのとり」に乗り込む。バックシェルが付いていてどこまで倒しても後ろの人に迷惑が掛からないので限界まで倒し、ベットで寝るようにして帰阪。
ほとんど終電になってしまったが、なんとか1日で大阪と白馬を往復できた。鉄道での往復は初めてだったが、なかなか良いものだった。1人か2人ならいい選択肢かもしれない。
今回はバタバタの来訪だったが今度は自分でゆっくりと訪れることにしよう。
今週はここまで。今週も皆様にとって良き週末となりますように。