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カメラを持って"世界"を歩こう。

[アナデジ写真記]

毎週だいたい金曜日に更新するblog。

2025/6/6

富士フイルムについて思うこと

前回のお話

 この1週間は立て続けに富士フイルムから発表があった。一つは「X-half」でもう一つは「写ルンです+」。予め断っておくが、私はこの2つの発表については否定的な考えを持っている。単なる酷評は避けようと思っているが、あくまで筆者の妄想が大部分を占めており、あまりそういった類の記事が苦手な方はブラウザバックされた方が良いだろう。あと、ここに出てくる写真は以前に撮った写真なのでx-halfや写ルンです+とは何の関係もない。

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 まず前提として私はどちらかというと「フィルムガチ勢」に当たるのだろう。年間でフィルムは40本程度カメラに通しているし、白黒のフィルムであれば自分で現像する。20代ではあるが「エモさ」をフィルムに求めているわけではなくて、デジタルと同じように美しい写真を撮りたくてフィルムを使っている。現像のプロセスや何の薬液を使うかにもこだわって続けている。

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 さて、初めにX-halfについてその機能をまとめてみる。私が機能について調べたり書いたりすると先入観や価値観が紛れ込むので、ここは生成AIのGeminiさんに出てきていただいて、ポイントを整理していただいた。入力したプロンプトは次の通り。

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 「富士フイルムの新しいカメラ、x halfについて200文字程度で機能や独特なポイントをまとめて下さい。」

 Geminiの回答は次の通り。

 富士フイルムの「X half」は、ハーフサイズフィルムカメラの撮影体験をデジタルで再現したコンパクトデジタルカメラです。

 主な機能・ポイントは以下の通りです。

 軽量(約240g)で持ち運びやすく、気軽にフィルムライクな写真表現を楽しめる、ユニークなカメラです。

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 これが主な特徴であるが、どこかで見たことないだろうか。PENTAX17である。17についても同様に質問してみた。プロンプトは次の通り。

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 「ありがとうございます。次は同様の条件でPENTAX17についてまとめて下さい。」

 回答は次の通り。

 PENTAX 17は、現代のフィルムカメラプロジェクトから生まれたハーフサイズフィルムカメラです。

 主な機能・ポイントは以下の通りです。

現代に新しく作られたフィルムカメラとして、フィルム写真の魅力を手軽に楽しめる一台です。

 となっている。両方ともポイントは5点で提示されたのでそれぞれ比較してみる。それぞれ共通するものは次の2点。

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 一つ目はハーフ判をコンセプトとしていること。17は35mmフィルムにコマを縦向きに配置することでフルフレームに対して半分の面積を使用することにしている。写真屋によっては1コマごとに分けてスキャンしてくれるところもあるが、対応していないところだと通常のフレームでスキャンすることになる。そうすると一枚の写真に2コマ入ることになる。x-halfでもこれを再現するモードが存在しており1つ目の共通点である。

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 二つ目はアナログの操作感を重視している点。17では手動の巻き上げ機構に巻き戻しクランク、感度や露出補正などの設定をダイヤルを用いて行うようにしており昔ながらの操作性を重視している。x-halfでもフィルムカメラモードを選択すればフィルムカメラのように特定の枚数を取り切るまでは内容を確認できないようにしていたり、撮る前には巻き上げレバーを引かないと撮れないなどフィルムカメラと同様の手順を踏まないといけないようになっている。他にも富士らしいフィルムシミュレーションはもちろん搭載されているし、従来のものに加えてハレーションや引かれ漏れを再現したもの、期限切れフィルムの再現などが追加されている。

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 一方で異なる点はレンズの画角。両者ともレンズ固定式のカメラであるため、その画角は非常に重要である。17は25mmのレンズで、35mm換算37mmとなり40mm程度の画角である。一方のx-halfは35mm換算で32mmとなり「写ルンです。」と同等の画角である。37mmと32mmではかなり違いがあるので、それぞれの個性と受け取って良いだろう。しかし、個性が大きく異なるのはレンズの画角くらいで他はそれほど違わない。X-halfではフィルムカメラを再現するための機能や仕様が数多くあり、特にフィルムカメラモードの機能説明を見てみると初めに枚数を決めたり、”デジタル現像”なる機能があったりする。フォーマットも1インチセンサーを縦置きすることでハーフサイズ風としているため17と似通った製品となっている。発売時期はPENTAX17がかなり早いことを考慮すればPENTAX17をデジタル化したものがx-halfというのが私の正直な感想である。富士フイルムがPENTAX17に影響を受けているのか私には分からないところはあるが、仕様をかなりフィルムカメラに寄せていることには同意していただけるだろう。

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 さて、これだけでも十分なサプライズであったが、その数日後にまたもや発表があった。それは「写ルンです。+」というアプリの発表である。このアプリはレンズ付きフィルムである「写ルンです。」を補完するようなものでアプリ上から現像の依頼ができる。現像完了後にスキャンデータがアプリのクラウド上に送付されるという仕組みで、写ルンですを含めたフィルムに必要な手続きが一つのアプリだけでできるようになっている。

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 これはなかなか便利ではないかと思ったのだが、いくつか疑問に感じる点がある。1点目は価格についてだ。値段は現像とスキャンで1本2420円。正直高い。一般的には現像代800円にスキャニングが900円が相場という感覚でこれを足せば1700円となる。相場と同等にすれば町の写真屋に影響するので低くはできないが、現在の写ルンですの値段が2800円するので合計5300円程度となり、楽しむには厳しい値段だと思う。

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 2点目はネガの返却がないところ。ありとあらゆるものがデジタルデータとして保存されている現代においてネガの必要性がどこまであるのかは不明であるが、感材メーカーとして廃棄を前提とする姿勢には驚きを隠せない。また、先述の通り値段を考えればネガの返却もないのはしょっぱい。ただ、筆者もネガを引っ張り出してきて作業することはあまりないので、現実的な問題として廃棄することを割り切るのも一つかもしれない。置いておけば後で別な方法でデジタル化できるのも楽しい部分ではあるが。

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 3点目はスキャンデータの画質について。公式サイトによるとスキャンデータの画素数は330万画素程度のようだ。店によっては150万画素というのもそれなりにあるので決して少ないわけでは無いが、やはり2420円という価格の前では割高感は否めない。

 以上の3点がこのアプリについて思うところであるが、確かに一つのアプリで一括で全てが整うという利便性はあると思うものの、使うメリットは薄く感じる。写ルンです本体と合わせると5300円になり、一枚当たり200円のコストとなる。このサービスしか知らない場合だとかなり金のかかる趣味になるわけでどれくらいの人が写ルンですを使うだろうか。

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 他方でx-halfは10.5万円で発売されるとのことで20本ほど写ルンですを使えばペイできる。かつ、メーカーはデジタル写ルンですを謳っているわけであり、せっかく写ルンですを使うようになった人がフィルムに定着することなくx-halfに流れるのだろうと思う。穿ち過ぎだとは思うが「写ルンです+」はx-halfの前段として用意したもので初めから富士フイルムのデジタルカメラを増やすために作ったのではと考えてしまう。そうして写ルンですの需要がある程度減ったら「売り上げがないので止めます」と言うのが流れではないだろうか。そうなれば、つい先日の大幅な値上げもあっていよいよ富士のフィルム事業には終止符が打たれるのだろう。

 杞憂だとは思いたいものの、デジタルカメラの中古市場を操作していたこともあって最早これを打ち消す要素は何一つなくなってしまった。優秀で美しいフィルムだったばっかりに今日も雨は降り続けている。

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