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カメラを持って"世界"を歩こう。

[アナデジ写真記]

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2025/8/22

フィルムカメラに慣れたら-ポジフィルムのすゝめ

前回のお話

 少し前に梅田のヨドバシカメラに行ってきた。フィルムが流行っているとは言うものの肌では全く感じたことがなく本当だろうかと疑っていたところであるが、フィルムを山積みにした売り場ができていた。富士フイルムのチェキから35mmフィルムまで大量に山積みにされていた。売り場自体もそこそこ広くスペースが取られていた。売っているフィルムもカラーネガだけでなく、モノクロネガまで並べられていて眺めていても楽しい空間だった。

 PENTAXの売り場でもこれまではなかったPENTAX17が展示されていて店員手書きの大きなポップまで付けられていて積極的に販促されているようだ。開店と同時に行ったので残念ながら客の入りは確認できなかったが、それなりにフィルムを売ろうという気はあるようだった。売れない物のために売り場を作るともあまり考えられないので、フィルムの売り上げも実はあるのかもしれない。

 さて、今回は初心者向けではなくある程度フィルムカメラに慣れた人向けに記事を書いてみる。フィルム写真の第一歩として大抵の人はカラーネガフィルムを使っていると思う。カラーネガである程度きれいに撮れるようになったら試してほしいのが、リバーサルフィルムと白黒フィルム。リバーサルフィルムはポジフィルムとも呼ばれるもので、現像済みのネガフィルムを見ると茶色くて色が反転した絵になっていることがわかる。「ネガ」なので普通の見た目の反対、陰画を作るが、リバーサルフィルムは「ポジ」なのでプラス側で見たまんまの陽画を写す。

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 画面を真っ白にしたスマホの上にリバーサルフィルムを置くと、このように見える。フィルムの小さな一コマに写真が収まっている。フィルムを通り抜けた光がそのまま閉じ込められているようだ。これをルーペで覗いてやると非常に美しく、言葉では言い尽くせない。

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 スキャンしたデータも素晴らしくコントラストがありつつ、しっとりした質感が魅力的だ。エモいエモいと言われがちなフィルム写真だが、そのイメージとは正反対のスッキリしていて実に写実的だ。

 白黒フィルムはまたの機会に回すとして今回はリバーサルフィルムのすすめ。

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 まずはリバーサルフィルムの種類から。現在入手可能なのは富士フイルム製のVelvia50とVelvia100、PROVIA100FとKodak製のEKTACHROME E-100の4種類。いずれも6000円近くするものの、写りの良さは抜群である。

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 私がよく使っているのはVelvia50と100でVelviaのこってりとした色合いが他には無くて非常に気に入っている。50と100で大きな違いはないが、50の方が落ち着いていて深い色になるような気がしている。

 恥ずかしながらE-100とPROVIA100Fは未だ使えていないので作例は出せないが、Velviaに比べて落ち着いた発色になる。少し前まで入手可能だったMARIX 100DとILFOCHROME100がおそらくE-100の詰め替えだろうと言われていて、落ち着いた自然な色味だった。希望的観測であるが、もう少しすればMARIX 100Dは再販するかもしれないと思っているだが、どうだろうか。

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 さて、これらの使い分けだが、梅や椿などマゼンタが強いものを撮るときはVelvia以外を使い、緑が強いときはVelviaを使うのが良いと思っている。彩度が強くて美しいVelviaだが、マゼンタが強い場合がどうも苦手なようで画面全体が赤く被ってしまう。桜も同じようになってしまうので、E-100や売っていればMARIX 100Dなどがいいだろう。

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 次はリバーサルフィルムを使う際の注意点。一番の注意点は撮影の難しさ。よく言われるのが露出のシビアさ。ネガに比べて圧倒的に許容範囲が狭いので使う際には内蔵露出計が正確なカメラか単体露出計を用意する必要がある。これに加えてピントも少しズレているとすぐに分かってしまう。リバーサルフィルムはデジタルカメラにも匹敵する細かな描写をするのでネガに比べてピントのズレが分かりやすい。スライドフィルムと言われることからも分かるように元々は映写機でスクリーンに大きく映して鑑賞するものだった。そのためピンボケが分かりやすいが、ピタッと合っていればこの世界がまるまる閉じ込められたようなフィルムになる。

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 2つ目は強い逆光には弱いこと。これまで何度か朝陽などで強い逆光になり、色が破綻してしまった。そうしたところから逆光には注意が必要である。とは言え逆光はダメと言う訳でもなく上手く撮れれば素晴らしい結果を得られる。

 以上の2点がリバーサルフィルムが難しいと言われる所以である。しかし、この2点さえ注意すればリバーサルフィルムもマスターできるのでぜひ挑戦してみてほしい。

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 撮影したら現像しよう。基本的に街の写真屋さんで受け付けてもらえるが、たまにリバーサルフィルムは対応していないところがあるので注意したい。まずは電話を掛けてみて聞いてみるのがいいだろう。ただ、大抵の写真屋さんはリバーサルフィルムの現像をラボに再委託するので2週間以上程度かかることが多い。私の場合はせっかちなので奈良県の大和高田にある「メモリーハウス・ミキ」さんにお願いしている。楽天市場で「なら写真クラブ 写真現像屋」、Yahoo!ショッピングで「奈良写真現像屋」として出店されており、ネットで支払い後郵送している。だいたいいつも1週間くらいで返ってくるので気に入って頼み続けている。ただし、スキャニングのみ近所の写真屋さんの方が安価なのでそちらで依頼している。

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 フィルムが帰ってきたら光に透かして見てみよう。

これが実に素晴らしい。デジタルカメラでもネガフィルムでもなくリバーサルフィルムだけでできる楽しみ方で、いわば特権のようなものだ。特に試してほしいのがルーペで拡大して見ること。ライトボックスとルーペがあると良いのだが、私はどちらも持っていないのでスマホの画面を真っ白にしてその上にフィルムを置き、その上から50mmの単焦点レンズで覗いてみる。かなり目は疲れるものの、フィルムの細やかな描写をじっくり堪能できるだろう。フラクタル図形のように細部まで無限とも思えるほど解像されていてフィルムの実力が分かる。エモいエモいと言われがちなフィルムカメラであるが、リバーサルフィルムはデジタルカメラにも引けを取らないばかりかそれ以上に感じる。

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 最後はフィルムをマウントしてみよう。人に自慢してマウントを取るわけではなく(この記事がマウントか…)、フィルムを一コマずつに切ってプラスチックのケースに収めていく。紙のマウントもあるがプラスチック製の方がカッチリしている。一コマずつ手を動かしてマウントしている作業も楽しくて夜中にチマチマ作業するのが良い。一度マウントして保護フィルムをかけておけば簡単に鑑賞できるし、マウントからでも写真屋でプリントできるので安心だ。マウントに穴を開けてインテリアのようにぶら下げている人もいるようだ。

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 以上が簡単ではあるがリバーサルフィルムの楽しみ方。36枚撮りの35mmフィルムで1本6000円近くするようになってしまってカネのかかる趣味ではあるが、フィルムカメラでの撮影に慣れて第2歩目に是非試してほしい。それほど長く存続するとも思えないので試すなら今が最後の機会だと思う。

 最後にリバーサルフィルムで撮った写真たちをお見せして終わりとする。それでは。

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